2011年3月11日の東日本大震災は未曾有の災害であるだけでなく、人間が大きな社会的困難に直面した際の一人ひとりのありかたと対応を再認識させることになりました。
市民による市民のための社会の実現に向けて「ボランティア学習」の意義を研究・提唱してきた私たちは、これまでの取り組みの成果と課題の再評価を迫られています。
そこで、2011年度は、開催地を震災の被災地でもある茨城県水戸市の常磐大学を会場に「市民がつむぐ学びのかたち」をテーマに『第14回日本ボランティア学習学会』を開催します。
ボランティア学習は、人間の主体性と社会性を編み上げる学びです。この学びは人の成長過程はもちろん、学校や地域における社会生活の中で培われていくものです。したがって、学校と地域社会の連携や協働の中で大きな成果を実現していく学びにほかなりません。
しかし、学校、家庭や地域社会においては、人と人のつながりを希薄なものへと進める方向に歯止めがかかりません。
こうした社会のあり方を、市民の参加によって改善していくことができるという仮説にたって、その担い手となる市民をいかに育むかが本大会の大きなテーマです。震災という社会的命題に向き合い、具体的な実践を踏まえてみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
学校・地域・家庭における教育の未来を切り拓く理論研究や実践活動をすすめている多様な分野のみなさまのご参加をお待ちしています。
大会プログラム概要
11月 20日(日) |
9:00〜 |
開場・受付開始 |
9:30〜 |
開会式 |
9:40-10:00 |
基調報告
テーマ「震災で改めて問われた絆の意味」 池田幸也 (常磐大学)
東日本大震災では茨城県は被災県となり、地震・津波に加え福島県からの避難者の受け入れなど、震災の被災当事者と支援者の両者のあり方が問われることとなりました。ここから見えた絆の意味について報告します |
10:00-10:20 |
『アレックディクソン賞』授賞式
“世界のボランティアの父”と呼ばれたアレックディクソン博士の業績を記念し、ボランティア学習について優れた活動を行った個人・団体の表彰を行います。 |
10:30-12:30 |
シンポジウム
テーマ「震災から学ぶ〜ボランティア学習と市民の力」
3.11の震災では、地域の人と人の絆が再考されました。また、学校と地域の連携力が震災で問われることになりました。こうした現状を踏まえて、子どもたちの学びの場とそのあり方や、学校と地域、教師と子ども、NPO等の市民組織とボランティアの関係と「これから」を考えます。
コーディネーター |
池田幸也(常磐大学) |
シンポジスト |
大滝 修 氏(茨城県立取手松陽高等学校・地球市民教育プログラム推進室)
小野村 哲 氏(リヴォルブ学校教育研究所)
佐川 雄太 氏(あしたの学校学級委員長) |
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14:00-16:00 |
分科会
【第1分科会】 「震災とボランティア活動」
震災は家族や地域の助け合いなど、身近な日常的な人のつながりの重要性を私たちに再認識させました。さらに、
被災者支援や被災地の復興に向けた取り組みの模索は、ボランティアのあり方を問いかえしています。分科会では
具体的な被災者支援や被災地支援とのかかわりから、ボランティアの役割とその推進について検討します。
事例発表者 |
小野村 哲 氏(リヴォルブ学校教育研究所)
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事例発表者 |
久保田 三枝子 氏(茨城県北茨城市大津町 ボランティア連絡会) |
コーディネーター |
中村 英三 氏(常磐大学) |
【第2分科会】「学校と地域の人々との協働」
被災地の多くの学校は避難所となり、教職員をはじめ地域に人々がその運営に携わりました。また、子どもたちも避難所の中で様々な役割を担うなど、日常の学校生活とは異なる状況を生み出しました。これらから、日常の学校における地域社会の人々、組織・団体などとの連携・協働の重要性が明らかになりました。こうした視点にたち、学校と地域の日頃の連携について事例を踏まえて検討します。
事例発表者 |
大滝 修 氏(茨城県立取手松陽高等学校・地球市民教育プログラム推進室) |
中村 瑞希 氏(筑波大学1年 茨城県立取手松陽高等学校卒業生) |
森田 聡 氏(茨城県水戸市五軒小学校) |
コーディネーター |
長沼 豊 氏(学習院大学) |
【第3分科会】 「学びを紡ぐファシリテーション」 ワークショップ
ボランティア学習はボランティア活動を通して多様な相互作用による学びを生み出します。この際、最も大切なことは出会った人と人の関わり、多様なキョウドウの実現です。この分科会では、学びの前提となる人間関係に着目し、ファシリテーションの手法と考え方を実践的に体験し、学びを豊かにする演習を行います。
ファシリテーター |
徳田 太郎 氏(日本ファシリテーション協会) |
【第4分科会】 「ボランティア学習の理論と実際」
ボランティア学習の概念整理を行ったうえで、英国とアメリカのサービスラーニングの最新状況と課題を検討します。実践上の指針を確認することを目指します。
事例発表者 |
橋本 洋光 氏(東京女学館中・高等学校)
「ボランティア学習の概念整理の試み」 |
唐木 清志 氏(筑波大学)
「アメリカのサービスラーニングの現状と課題」 |
興梠 寛 氏(昭和女子大学)
「英国のシティズンシップ教育に学ぶ」 |
コーディネーター |
興梠 寛 氏(昭和女子大学) |
【第5分科会】 「若者によるボランティア学習の未来」
3月11日の大災害発生後には、多くの若者が「何かしたい」と思う一方「何をしたらよいのかわからない」という思いに駆られていた人も少なくありませんでした。震災後のボランティアバスツアーに参加した者もいれば身近な地域で活躍した人もいました。若者による活動の元気とネットワーク作りに挑戦している人たちが集い、今とこれからを展望します。
事例発表者 |
黒田 太郎 氏(茨城町青年四季の会) |
塩田 昌和 氏(ノースマーク) |
常磐大学震災ボランティア活動&TUVIC |
コーディネーター |
森 照代 氏(作新学院高等学校) |
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16:10-17:00 |
自由研究発表 ○棟○教室
会員の研究成果を発表・協議する時間です。ふるってご参加ください。
発表申し込みについては参加申込書にご記入下さい。 |
18:00-20:00 |
情報交換会 参加者の皆さんとの新たなネットワーク創出と交流の時間を設けました。ふるってご参加ください。
◆会 場:(水戸駅近くのお店を予定しています)
*大会参加の申し込みと同時にお申し込みください。
*会場へのご案内は当日お知らせします。
常磐線特急水戸駅発時刻 |
参加申し込み
11月11日(金)まで
下記の参加申込書に必要事項を記入し、大会事務局まで郵送・FAX又はメールでお送りください。
また、参加費は当日受付でお支払いください。
会場及び交通案内
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